看護師国家試験出題基準平成26年版

看護師国家試験出題基準平成26年版

透析療法

透析療法とは

 

透析療法とは、透析療法は、血液浄化療法の一つで、
腎不全や尿毒症等の病気によって、
老廃物を除去することができなくなった場合などに、
人工的に透析を行うものです。

 

腎臓が機能しなくなると、
私たちは生きていくことができません。

 

そのような時、腎臓に代わって、
体の血液をきれいにする人工的な方法が必要です。

 

それが、透析です。

 

しかし、透析をしても腎機能は回復することはなく、
生涯透析をやめることができません。

 

 

透析療法には、人工腎臓を使用する方法や、
腹腔内に灌流液を注入して腹膜を通して行う方法などがあります。

 

また、慢性腎不全に対する透析療法としては、
代表的な血液透析・腹膜透析のほか、
血液ろ過や血液ろ過と透析を組み合わせたものがあります。

 

そして、血液浄化療法は、慢性腎不全や尿毒症だけでなく、
他にもさまざまな疾患に適応になります。

 

 

血液浄化療法が適応になる疾患

 

急性腎不全、慢性腎不全、急速進行性腎炎、劇症肝炎、急性肝不全、
術後肝不全、肝性昏睡、多臓器不全、エンドトキシンショック、
重症筋無力症、ギランバレー症候群、多発性硬化症、悪性関節リウマチ、
全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、家族性高コレステロール血症、
閉塞性動脈硬化症、巣状糸球体硬化症、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、
血液型不適合腎移植、薬物中毒など。

 

 

血液透析の拡散のしくみ

 

水溶液中の物質は、濃いほうから薄いほうへ移動し、
そして等しい濃度になる性質があります。

 

この減少を「拡散」といいます。

 

血液と透析液が透析膜を隔てて接触すると、
透析膜にはとても小さな孔が開いているので、
分子量の小さな物質は濃度の濃いほうから薄いほうへ
透析膜を通って移動し、濃度が等しくなるようになります。

 

そして、濃度の差が大きくなればなるほど、
移行は多く行われます。

 

透析は、この「拡散」の性質を利用しています。

 

血液透析の限外ろ過のしくみ

 

透析膜の片側の溶液に圧力がかかることによって、
溶液は膜の反対側に押し出されます。

 

この仕組みを限外ろ過といいます。

 

小さい分子の溶質は水と共に移動し、
大きいものは残ります。
血液透析では、血液側から透析液側に向かって圧力がかかっているので、
血液中の水分が押し出され、体内にたまっていた水分が除去されます。

 

透析療法の方法

 

透析の方法は、大きく分けると「血液透析」と「腹膜透析」の2つがあります。

 

透析をしている患者さんのほとんどが血液透析を行っており、
腹膜透析を受けている人は少しです。

 

 

<腹膜透析>

 

腹膜透析は、自分のお腹の膜をろ過装置として使うもうのです。

 

腹膜は、胃や腸などの臓器を覆っている薄い膜のことで、
毛細血管が表面に網目のように分布しているものです。

 

この腹膜を透析膜として使用します。

 

透析液を出し入れするために、はじめにカテーテルをお腹に埋め込む手術をします。

 

感染しやすくなってしまうため、
毎日カテーテルケアをし、出口の部分のカテーテルを
いつも清潔に保つようにします。

 

腹膜透析は自己管理がとても大切ですが、
血液透析に比べ食事制限がゆるいことや、
自分の尿が出る期間が血液透析よりも長いなど、
さまざまなメリットがあります。

 

しかし、手術をしてカテーテルを体内に入れておかなければならないことや
カテーテルの先端部がお腹から出ているため、
外見上問題があったり、炎症を起こす可能性が高いこと、
腹膜の機能が衰えれば、血液透析に移行する必要があるなど
デメリットもあります。

 

 

<血液透析>

 

血液透析

 

血液透析は、機械に血液を通してろ過します。

 

血液透析では、血液を出すためのルートと、
血液を戻すためのルートの2つのルートを通して血液を体外へ誘導し、
拡散・ろ過(限外ろ過)の物理的原理を用いて
溶質と水分を除去した後、浄化した血液を体内へ戻します。

 

維持透析の患者では、動脈と静脈をつないだ
「内シャント」を造設して使用します。

 

内シャントを長期間使用していると、
血管がつまってしまったり、細くなって使えなくなる
「シャント障害」が起きることがあります。

 

内シャントが使えないひとや、
シャントのない患者さんでは、ダブルルーメンカテーテルという
透析専用のカテーテルを静脈に挿入します。

 

血液透析は、一週間に3回程度、透析を行う医療機関に通院して行います。
自宅に透析の機会を置き、自分や家族の手で透析を行う人もいますが、
ほとんどが通院で行います。

 

透析には、1回4〜5時間かかるため、
仕事と両立することができるように、
夜間に透析ができる医療機関に通院する人も多くいます。

 

血液透析時の注意点

 

血液透析時には、血液中の水分や電解質の変化に伴う血圧低下や不整脈、
血液の変化に脳実質が対応できないことによって起きる
不均衡症候群に注意すべきです。

 

・不均衡症候群

 

不均衡症候群は、血液透析導入時に最も注意しなければならないものとされています。

 

不均衡症候群の症状は、頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害、血圧上昇・低下、
視力障害、興奮・錯乱、けいれん、昏睡などがあります。

 

このような症状が起きるのは、
脳内水分量が急激に上昇するためといわれています。

 

・ドライウェイ(透析時基本体重)

 

透析を受けている患者さんは、尿がほとんど出ません。
全くでない人も多く、摂取した水分は体に溜まり続けてしまいます。

 

そのため、体重が増加しますが
透析によって体に溜まった余分な水を除くことができます。
余分な水を除けば、その分体重が減りますが、
水分の除去は過剰になっても不足してもだめで、
適正な状態「ドライウェイ(透析時基本体重)」を基本にし、
水分を除去することが必要です。

 

血液透析を長期続けた場合の問題点

 

透析をすることによって、
いつもどおりの日常生活を送ることができる人も多いです。

 

しかし、腎臓の機能は治ることはありませんし、
完全に腎臓の働きを代替することはできません。
ですから、長期間血液透析を続けると、
個人差がありますが、いろいろな合併症が起きてきます。

 

・骨の障害

 

腎不全のため、ビタミンDの活性化が障害され、
カルシウムが吸収されにくくなります。

 

また、血液中に透析では除去しにくいリンが溜まることもあり、
骨が弱くなります。

 

・透析アミロイドーシス

 

透析では除去しきれないタンパク質の一種が、
アミロイドという物質に変化します。

 

そして、このアミロイドは骨や関節に沈着するので、
痛みや痺れ、関節が曲がりにくい等の症状が出ます。

 

・動脈硬化

 

透析の患者さんは、動脈硬化が進み安くなります。

 

・心不全

 

透析の前は体内の水分量が多く、
透析の後は体内の水分量が少なくなるというように
体の水分量が透析ごとに大きく変動するため、
心臓に大きな負担がかかります。

 

・感染症

 

透析を受けている患者さんは、免疫力が下がりやすく、
感染症にかかりやすくなります。

 

・悪性腫瘍

 

透析を受けている患者さんは、悪性腫瘍の発症率が高くなります。

ギラン・バレー症候群

ギラン・バレー症候群とは

 

ギラン・バレー症候群(感染後多発性神経炎)は、
名前が特徴的な疾患で、
風邪を引いたり下痢をしたりなどの感染症の後1〜2週間して、
突然手や足に力が入らなくなる自己免疫系の疾患です。

 

カンピロバクターに汚染されている生肉を食べた後に
発症することもあります。

 

成人の男性で発症率が高いですが、
女性にも発症しますし、
赤ちゃんからお年寄りまで、どの年齢層にも発症します。

 

ギラン・バレー症候群は、長く「脱髄性(だつずいせい)多発神経炎」
と考えられてきました。
しかし、近年、軸索(じくさく)の障害が原因であると指摘されています。

 

脱髄性の疾患には、多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎(ADEM)があります。

 

症状は、2〜4週間以内にピークになり、
その後は改善していきます。

 

症状の程度は、患者さんによってさまざまですが、
末梢神経が障害され、四肢の運動麻痺が起こるので、
ひどい場合は寝たきりになったり、呼吸ができなくなることもあります。

 

また顔面麻痺が起こったり、言葉が話しにくい、
食べ物が飲み込みにくい、ものが二重に見えるという症状が出る人もいます。

 

症状は6〜12ヶ月で治る人も多いのですが、
重症になると手足に機能障害が残る場合もあり、
リハビリが必要になります。

 

ギラン・バレー症候群の検査と診断

 

ギラン・バレー症候群では、血液検査、髄液検査、
神経伝道速度検査、検便などの検査を行います。

 

・血液検査

 

血液中に抗ガングリオシド抗体がみられるかどうかの検査を行います。

 

・髄液検査

 

脳や脊髄を保護している髄液の検査で、タンパクの含有量を検査します。

 

・神経伝導速度検査

 

手足の神経に細い針を刺して電流を流し、
神経の伝導スピードを測り、神経がどの程度障害を受けているかを調べます。

 

・検便

 

カンピロバクター菌の有無を調べます。

 

ギラン・バレー症候群の治療

 

ギラン・バレー症候群の治療には、
血漿交換療法、免疫グロブリン療法、免疫吸着療法が行われます。

 

・血漿交換療法

 

体の血液を抜いて血漿を分離し、
血漿の有害物質だけを取り除き、再び体内に戻します。

 

・免疫グロブリン療法

 

免疫グロブリンを投与します。

 

・免疫吸着療法

 

血中に含まれている原因となっているものを除去します。

圧迫性神経障害

圧迫性神経障害というとわかりにくいですが、
「正中神経麻痺で猿手」や「腓骨神経麻痺」、
「手根管症候群」というのは
聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

猿手

 

猿手とは、手のひらを前に向けて腕を伸ばしたとき、
前腕の骨の長軸が、上腕の骨の長軸よりも
異常なほど外側へ開いている状態のことを言います。

 

正中神経麻痺で猿手になると、
尺骨神経が引っ張られることによって
痺れや痛み、麻痺が起こります。

 

また、指の曲げ伸ばしが難しい状態になることもあります。

 

腓骨神経麻痺

 

腓骨神経麻痺は、足首や足指の持ち上げや、
下腿外側の皮膚の感覚を支配している腓骨神経が、
圧迫されることによって損傷されるものです。

 

腓骨神経は外表に出やすく、骨にも近いので、
腓骨の圧迫によって損傷されやすく、
足関節の背屈(はいくつ)が制限される下垂足(かすいそく)
になるのが特徴的です。

 

下垂足にまで至らなくても、痺れや感覚異常があったり、
敷居に足が引っかかったり、サンダルが脱げやすいなどの
症状が見られることもあります。

 

手根管症候群

 

手根管症候群とは、女性に多い手の痺れが現れるものです。

 

手根骨と手掌の付け根にある靭帯からなる
手根管というトンネルの中に正中神経と複数の指を曲げる筋肉の
腱が通っていますが、
この手根管の中で正中神経が慢性的に圧迫され、
正中神経の支配領域である手指に
痺れや疼痛、運動障害が起こります。

 

手根管症候群は、編み物をしたり自転車に乗るなどで症状が出ます。

 

手を酷使することによって症状が出ますが、
酷使だけでなく女性ホルモンとの関係が指摘されています。

 

妊娠中や出産後・閉経後の女性に多くみられる疾患であることを覚えておきましょう。

 

手根管症候群は、進行すると知覚異常や筋力低下が生じます。
また、慢性化すると、
母指球筋(ぼしきゅうきん)の萎縮が起こる可能性があります。

 

 

圧迫性神経障害の特徴

 

麻酔時の固定、長期の安静が臥床、長時間足を組んだ姿勢、
草むしりのような膝を曲げた姿勢を長時間とること、
ギプス固定などで症状が出ることがあります。

 

また、体外からの圧迫だけでなく、
神経周囲組織の腫瘍や肥厚などによる圧迫によっても
圧迫性神経障害は起こります。

 

障害が重くなってくると、圧迫を解除しても
神経機能の回復が不可能になります。

 

特に加齢や糖尿病、低栄養、アルコール中毒などは
神経障害を起こしやすい状態になります。

 

 

神経と障害時に生じる運動障害

 

・腕神経叢(わんしんけいそう)

 

腋窩(えきか)神経: 肩関節外転障害

 

筋皮(きんぴ)神経: 肩関節・肘関節屈曲障害

 

正中神経: 回内・手関節及び手指の屈曲障害
      猿手・母指と示指の対立障害

 

橈骨(とうこつ)神経: 下垂手
            手関節・手指の伸展障害

 

尺骨(しゃっこつ)神経: 鷲手

 

・仙骨神経叢(せんこつしんけいそう)

 

坐骨(ざこつ)神経: 膝(しつ)関節屈曲障害

 

脛骨(けいこつ)神経: 足関節底屈障害
            つま先立ち不可

 

総腓骨神経: 足関節・足趾の背屈障害
       下垂足

非侵襲的陽圧換気と侵襲的陽圧換気

非侵襲的陽圧換気と侵襲的陽圧換気は、
人工呼吸の仕組みのことです。

 

非侵襲的陽圧換気と侵襲的陽圧換気とは

 

人工呼吸には、非侵襲的陽圧換気と侵襲的陽圧換気があります。

 

気管内挿管や気管切開をして直接気道を確保し、
換気する人工換気を侵襲的人工換気といいます。

 

そして、侵襲的人工換気以外の方法で行われる人工換気を
非侵襲的人工換気といい、
特に気道内圧を陽圧に保ちながら、
肺胞換気を補助する目的で、マスクを使用して陽圧をかける方法を
非侵襲的陽圧換気といいます。

 

非侵襲的陽圧換気では、
気管挿管を行わなくても陽圧呼吸ができるので、
患者さんも会話や食事などをすることができます。

 

また、気管挿管を行うことによる合併症も回避できます。

 

ただし、意識障害のある患者さんに対しては、
非侵襲的陽圧換気は適応外になります。

 

 

人工呼吸の日常的なケアのポイント

 

人工呼吸器の作動状況、設定と条件があっているかを
定期的に確認することが必要です。

 

また、患者さんの自発呼吸がある場合には、
機械と合っているかどうかを確認します。

 

人工呼吸器と気管内チューブの接続状態、
呼吸回路の屈折や漏れの有無、
水がたまっていないか、ナネブライザーの状態などを確認します。

 

呼吸音に変化がないかを聴診し、
胸郭の動きは左右対称か、
両肺に均等に空気が入っているかどうか、
人工呼吸器と同調した胸郭の拡張があるかどうかを確認します。

 

定期的に回路を交換し、気道内分泌物を確認し、必要時には吸引します。

 

体位変換は、2時間ごとに行うのが原則です。

 

コミュニケーションに配慮し、
人工呼吸器関連肺炎(VAP)予防のため、口腔ケアを実施することも必要です。

 

 

気管挿管の患者さんとのコミュニケーション

 

気管挿管の患者さんとのコミュニケーションはとても重要です。

 

なぜなら、気管切開をして、人工呼吸器を装着した患者さんは、
話をすることができません。

 

そして、コミュニケーションが取れないと、
精神的な苦痛が強くなり、悲しみ、怒り、絶望、パニック、いらだち
などを起こし、治療にも悪影響です。

 

筆談や文字ボードなどを使用し、
患者さんの意思やニーズを明らかにすること、
また、患者さん本人が置かれている状況の説明を丁寧に行うようにします。

 

侵襲的陽圧換気のケアのポイント

 

侵襲的陽圧換気を行う場合は、
挿入の長さが分かるようにチューブにマジックでしるしをつけ、
自己抜管、片肺挿管防止がないように注意します。

 

人工呼吸中の加温加湿を行う器具を「人工鼻」といいますが、
この人工鼻は、私たちは生理的に鼻で加湿を行っているため、
その機能を補うという意味があります。

 

この人工鼻を使っているときは、同時にネブライザーを使用することができません。

 

 

気管切開の合併症リスク

 

気管切開には、感染などのリスクが伴います。

 

具体的なリスクとしては、以下のような合併症があります。

 

・切開時や切開直後の出血・皮下着腫など。

 

・チューブの刺激による気道の潰瘍。

 

・チューブの細菌コロニー形成による感染症。

 

・気管食道瘻。

 

・気管狭窄。

 

・肉芽形成。

 

・蜂窩織炎。

 

・気胸。

 

・出血。

 

・コミュニケーション障害。

循環機能障害

循環機能障害には、ポンプ機能障害、輸送還流障害、刺激伝導障害があります。

 

ポンプ機能障害

 

ポンプ機能障害は、心臓のポンプ機能が低下するもので、
ポンプ機能が低下すると血液循環がスムーズにできなくなり、
心臓から送り出される血液量が減ってしまいます。

 

ですが、何とか正常の状態を保とうとするため、
心臓を大きくしたり、心拍数を多くしたり、
血管を収縮させるなどして血圧を維持しようとするため、
心臓が疲労し、さらにポンプ機能が低下してしまいます。

 

すると、肺に水がたまったり、足がむくむ、
息切れや動悸、疲れやすいなどの症状が出る「心不全」となります。

 

輸送還流障害

 

輸送還流障害」の「輸送」とは、
動脈や静脈を流れる血液が、酸素や栄養素などを運ぶことで、
「還流」とは血液の流れのことをいいます。

 

静脈とリンパ管は、
私たちの体の中の老廃物を回収する役割を担っています。

 

しかし、静脈やリンパ管が何らかの原因で機能を果たさなくなると、
老廃物の輸送や心臓への還流ができなくなり、
タンパク質が再吸収されなくなります。

 

そして、血液中の浸透圧の状態が悪くなり、
組織の代謝が障害され、炎症や血栓の原因になります。

 

血液を循環させるための管、血液の流れの圧、
循環する血液の流れの持つ働きのことを輸送還流機能といい、
輸送還流機能は、「輸送」、「還流」、「導流」、「分配調節」によって構成されています。

 

そして、輸送還流機能により、
十分な酸素を含んだ血液を動脈によって全身の組織に届け、
全身の組織から生じた二酸化炭素を含む血液を
静脈が、心臓と肺に送り返しています。

 

主に輸送還流機能を見るために行われる検査は、
血管造影法や血管エコーです。

 

 

* 「ポンプ機能」と「輸送還流機能」は、密接な関係があり、
たとえば、高血圧症や心筋梗塞はポンプ機能と輸送還流機能の
両方が障害されている状態です。

 

しかし、心臓部まで解離が及んでいない大動脈解離や、
下肢静脈瘤などは、輸送還流機能であるといえます。

 

刺激伝導障害

 

刺激伝導は、心臓の筋肉の中を走る一方通行の電線のようなもので、
普通の筋肉とは異なり、筋肉が収縮するための電気信号をすばやく伝え、
自ら電気信号を一定の間隔で発生させる力を持っています。

 

この刺激伝導のスタートとなる部分は、
右心房にある洞結節という部分で、
洞結節では、刺激を受けなくても一定時間ごとに
繰り返して電気信号を発生しています。

 

しかし、刺激伝導に障害が起きると、
心臓の収縮運動が乱れ、脈の間隔や強さが異常となり、
不整脈が起こります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは

 

逆流性食道炎は、胃酸の逆流によって起きる病気です。

 

食道とは、口から食べた食べ物を胃に送るための管のことですが、
通常は一方通行で逆流はありません。

 

それは、下部食道括約筋が、摂取したものが通るとき以外は閉鎖していて、
酸性の異物内容が食道へ逆流することを防いでいるからです。

 

胃では、酸性度の高い塩酸(胃酸)と消化酵素が含まれる胃液が分泌されていて、
この胃液は、取り込んだ食べ物の中に含まれるタンパク質を分解し、
小腸で吸収しやすい状態にしています。

 

そして、胃は、酸から粘膜を守る防御機能が働いていますが、
食道には、防御機能がありません。

 

ですから、何らかの原因によって胃酸が食道に逆流すれば、
食道は強い酸である胃酸によって炎症を起こしてしまうのです。

 

また、胃酸によって活性化されたタンパク質分解酵素によっても
食道は傷つけられます。

 

このような胃酸の逆流が繰り返し起きれば、
食道の粘膜にただれや潰瘍ができ、
胸やけなどの症状がでる「逆流性食道炎」になります。

 

 

逆流性食道炎の原因

 

逆流性食道炎の原因は、食道下部括約部の状態が悪くなることが挙げられます。

 

通常は、閉じている食道下部括約部ですが、
加齢や食生活、悪い姿勢などの生活習慣によって締りが悪くなると、
胃酸の食道への逆流が起こります。

 

また、食道にも、逆流してきた胃酸や食べ物を
胃の方向へ押し戻そうとする働きがありますが、
この働きが弱くなることによっても容易に逆流がおこるようになるため、
逆流性食道炎になるといわれています。

 

さらに、食道裂孔ヘルニアのある人、
肥満の人、妊婦、糖尿病患者なども逆流性食道炎を発症しやすいといわれています。

 

逆流性食道炎の症状

 

逆流性食道炎の症状には、強さなどには個人差がありますが、
以下のような症状がありあmす。

 

・胸焼け
・呑酸(どんさん)
・食欲がない
・口の中がすっぱく感じる
・口の中に苦い水が上がってくる
・起床時の胸焼け
・むかつき
・食べ物がしみる
・食道部が痛い
・のどがつかえる
・喉が圧迫される
・のどの異物感

 

逆流性食道炎の合併症

 

逆流性食道炎は、放置し、悪化すると、食道がんなどに進行することがあります。

 

胃食道逆流症(GERD)

 

胃食道逆流症(GERD)は、粘膜への刺激となる酸性の胃内容物
(酸やペプシンを含んだ胃酸、胆汁酸、膵液を含んだ十二指腸内容物)が
胃から食道へ逆流することによって起こる食道の炎症疾患です。

大動脈内バルーンパンピング(IABP)

大動脈内バルーンパンピング(IABP)は、
看護実習でもよく出会う心不全の治療法です。

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)とは

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)とは、
捕助循環装置といわれるもので
カテーテルの先にバルーンがついているものを
鼠径部(そけいぶ)から動脈の中へ挿入し、
バルーンを閉じたり開いたりするものです。

 

心不全などで心臓の機能が著しく低下していて、
心臓のポンプ機能が悪く、血圧が低下している状態のときに用います。

 

バルーンを心臓の拡張期に膨らませ、
心臓の収縮期にはしぼませてポンプ機能をアシストすることにより、
心臓が楽になり、冠動脈の血流を保つことができ、
全身の循環血液を維持することができるようになります。

 

そして、心臓の働きが良くなったら、
IABPをストップし、バルーンを抜きます。

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)の役割

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)では、
心臓が収縮した直後に、大動脈圧が下がるタイミングで
バルーンを拡張させ、大動脈圧を上昇させます。

 

冠状動脈への血流は心臓が弛緩している拡張期に多く流入するので、
上行大動脈側に血液を逆流させ、
冠状動脈への血流を増加させる働きもしています。

 

心臓が収縮する直前からバルーンを収縮させることによって
大動脈圧を低下させ、心臓が楽に抹消まで血液を運ぶことができるようになり、
心臓の酸素消費量も減少します。

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)のケアのポイント

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)は、
動脈に留置するので、
出血や抜去には十分注意するようにします。

 

感染等の徴候がないかを知るために、
体温や循環動態を反映する尿量の確認をします。

 

大動脈内バルーンポンプには、モニターが設置されていて、
心拍数、動脈圧、呼吸数が表示される仕組みになっています。
十分に確認をしましょう。

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)の合併症

 

大動脈内バルーンパンピング(IABP)による合併症には、
「挿入時の大動脈の損傷」、「バルーンの破裂」、
「下肢の血行障害や血栓塞栓症」、
「バンピングによる血液成分の破壊(血小板の減少など)」、
「感染」などがあります。

インクレチン関連薬

インクレチン関連薬は、糖尿病の治療薬のひとつです。

 

糖尿病の治療には、血糖値を下げるための飲み薬と注射薬があり、
作用の違いによっていくつかの種類があります。

 

糖尿病の治療薬

 

・インスリン分泌促進薬

 

インスリン分泌推進薬は、膵臓を刺激し、インスリンを出します。

 

・インスリン抵抗性改善薬

 

インスリン抵抗性改善薬は。インスリンの働きを良くします。

 

・食後過血糖抑制薬

 

食後過血糖抑制薬は、食事からの糖の吸収を緩やかにし、
食後の高血糖を抑える働きがあります。

 

・インクレチン関連薬

 

インクレチン関連薬は、血糖値が高いときだけインスリンを出して、
グルカゴンが出るのを抑えます。

 

・インスリン製剤

 

インスリン製剤は、注射によってインスリンを補充するものです。

 

 

インクレチン関連薬とは

 

インクレチン関連薬とは、小腸から生理的に分泌される物質に
働きかける糖尿病治療薬で、
インクレチンというホルモンの作用を利用した薬です。

 

血糖値が高いときだけ血糖値を下げることができる、
新しいタイプの血糖降下薬でもあります。

 

さらに食欲を抑制することもできるので、
体重減少作用もあります。

 

ただし、2型糖尿病のうち、
すい臓からのインスリン分泌能が残っている
患者さんにしか効果がありません。

 

インクレチン関連薬は、
DPP-4阻害薬(経口薬)とGLP-1受容体作動薬(注射薬)があります。

 

経口薬のインクレチン関連薬では、
現在1日1回或いは2回のものがあり、食事に関係なく服用することができます。

 

インスリンや経口血糖降下薬と併用できるものもありますが、
低血糖を起こしやすいので注意することが必要です。

 

 

インクレチン関連薬の副作用

 

インクレチン関連薬は、副作用は胃腸障害、
肝機能障害・横断、急性膵炎、急性腎不全、腸閉塞などがあります。

ろ紙ディスク法

ろ紙ディスク法とは、味覚の感じ方を調べる検査です。

 

ろ紙ディスク法とは

 

ろ紙ディスク法は、味覚の感じ方を調べる検査で、
味覚障害があるかどうか、あるとすればその重症度はどの程度か、
治療中であれば治療の効果などを調べます。

 

ろ紙ディスク法では、「甘い」、「塩辛い」、「苦い」、「すっぱい」、「味がしない」、
「何か分からないけれど味がする」というような返答を選んでもらいます。

 

検査を受ける患者さんは、
口の中の所定の部位に甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味の
溶液をたらした小さなろ紙を置き、どの味質であるかを答えます。

 

ろ紙ディスク法は、とてもシンプルな仕組みの検査ですが、
注意点がたくさんあります。

 

<ろ紙ディスク法の行い方>

 

(1) ろ紙ディスクを1枚、耳用ピンセットでつまんで、
   味質溶液をディスクに滴下し、湿らせます。

 

    ろ紙ディスクは1つの味ごとにNO.1〜5まであり、
   徐々に濃い味になっています。

 

(2) 湿らせたディスクを検査を受ける患者さんの口内の所定の測定部位へ静かに置き、
   口をあけたまま2〜3秒で味質指示表のうちの1つの答えを指示してもらいます。

 

    測定部位は、大錐体神経支配領域、舌咽神経支配領域、
   鼓索神経支配領域です。

 

(3) ディスクは、検査を行う人が、ピンセットで取り除きます。

 

    ピンセットは、味質ごとに交換します。

 

(4) 正答が得られないときは、次のより濃い試液で
   認知閾値(No.1〜5から判定する)を判定します。

 

* ひとつの味質が終わったら、残味を防ぐため水でよく含嗽(がんそう)してもらい、
  その後、再び一分間以上の間隔を置いて、次の味質を行います。
   同一味質の測定の間は、含嗽の必要もありませんし、間隔を置く必要もありません。

 

* 味質の測定順序は、甘味(甘い)、塩味(塩辛い)、酸味(すっぱい)の、どの味質から開始しても良いですが、
 苦味は、必ず最後にします。

 

認知閾値

 

ろ紙ディスク法の認知閾値は、以下のように判断します。

 

NO.1で認知→味覚感度I

 

NO.2で認知→味覚感度U

 

NO.3で認知→味覚感度V

 

NO.4で認知→味覚感度W

 

NO.5で認知→味覚感度X

 

NO.5で認知不能→味覚感度Y

 

電気味覚検査

 

他の味覚検査には、「電気味覚検査」があります。

 

電気味覚検査は、所定の検査部位に検査器具の先端をあて、
微弱な電流を流します。

 

徐々に電流を上げていき、金属をなめたときのような味を感じたら
伝えてもらうようにします。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害とは

 

認知(高次脳機能)とは、ヒトが持つ特異的な機能を指します。

 

具体的には、「知覚」、「記憶」、「学習」、「思考」、「判断」などの認知過程と
行為の感情(情動)を含めた精神(心理)機能を総称した機能のことです。

 

このような認知機能が、
脳血管障害や脳症、脳炎などの病気や、
事故による脳外傷等によって脳が損傷されたため、
障害が起きた状態を「高次脳機能障害」といいます。

 

高次脳機能障害の発症原因で多いのは、
脳血管疾患や頭部外傷でが、
脳腫瘍、ウイルス性脳炎なども起こります。

 

そして、高次脳機能障害は、
薬物や手術で治療することは難しいので、
リハビリテーションが重要になります。

 

高次脳機能障害の診断

 

・高次脳機能障害は、脳の器質的病変によって起こります。

 

症状としては、「記憶障害」、「情緒障害」、
「失語症」、「失行」、「失認」などがあります。

 

注意力や集中力の低下が見られたり、
古い記憶は保たれているのに新しいことが覚えられない、
感情や行動の抑制が利かない、
良く知っているはずの場所や道で迷う、
言葉がでない、ものにぶつかることが多くなるなど
生活に支障をきたす症状が現れます。

 

 

高次脳機能障害の診断基準は以下のとおりです。

 

☆I主要症状等

 

@ 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の
 発症の事実が確認されている。

 

A 現在、日常生活または社会生活に制約があり、
 その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、
 社会的行動障害などの認知障害がある。

 

☆U検査所見

 

MRI、CT、脳波などによって
認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、
或いは診断書によって脳の器質的病変が存在したと確認できる。

 

☆V除外項目

 

@ 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、
 身体障害として認定可能である症状を有するが、
 上記主要症状(I-A)を欠く者は除外する。

 

A 診断にあたり、
受傷または発症以前から有する症状と 検査所見は除外する。

 

B 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、
 進行性疾患を原因とする者は除外する。

 

☆W診断

 

@ I〜Vをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。

 

A 高次脳機能障害の診断は、脳の気質的病変の原因となった外傷や
 疾病の急性期症状を脱した後において行う。

 

B 神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。

 

高次脳機能障害の診断基準のなかでも、
遂行機能障害と社会的行動障害は分かりにくいものです。

 

遂行機能障害: 遂行機能障害とは、何かをするとき、
       自分で計画を立てて、遂行することができなかったり、
       行き当たりばったりで行動することなどが該当します。

 

        遂行機能障害があると、
       計画性や効率性が欠如し、
       家事や仕事をすることが難しくなります。

 

社会的行動障害: 高次脳機能障害が起きる前に比べて
        怒りっぽくなったり、
        浪費をするようになったり、過食になったり、
        感情のコントロールができなくなったり、
        意欲が低下するなどがあります。

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